法政大学 自己推薦入試(総合型選抜)

法政大学の自己推薦入試(総合型選抜) 学部別の出願資格・日程・選考と対策

法政大学の自己推薦入試について、2027年度の各学部の入学試験要項と共通冊子をもとに、学部・学科ごとの募集人員・出願資格(現役のみか、評定平均、英語資格)・選考内容・日程を比較し、出願の手続きと対策をまとめました。

法政大学の総合型選抜の中心になっているのが「自己推薦入試」です。大学全体で1つの試験があるわけではなく、学部・学科ごとに独自の名前・出願資格・日程で実施しているのが大きな特徴です。評定平均の基準がある方式、英語資格が必須の方式、現役生しか出願できない方式などがあり、同じ「自己推薦」でも中身はまったく違います。

この記事では、2027年度入試(2027年4月入学)の各学部の入学試験要項と、全方式に共通する「共通冊子」をもとに、学部・学科ごとの違いと共通の手続きを整理します。

2027年度の要項は2026年7月16日に公開され、出願はすでにすべて締め切られています(11月6日時点で、多くの方式は第一次選考の発表や第二次選考の時期です)。大学は総合型選抜の要項を「7月中旬頃公開予定」と案内しており、前年度(2026年度入試)も2025年7月14日に公開されました。2028年度入試を目指す人は、7月中旬に入試情報サイトの「入試要項・入試ガイド」ページから最新の要項を確認してください。

入試の概要

項目 内容
区分 総合型選抜(大学は「自己推薦入試・公募推薦入試」としてまとめて案内)
実施単位 学部・学科ごと(方式名・出願資格・日程・募集人員がそれぞれ違う)
選考の流れ 多くの方式は第一次選考(書類審査)→第二次選考(小論文・筆記・面接など)の2段階。GISは書類審査のみ(対象者にオンライン面接)
出願方法 インターネット出願登録+検定料の支払い+出願書類の郵送(締切日消印有効)
入学検定料 35,000円(GIS自己推薦S基準・A基準は20,000円)。別にサービス利用料1,100円
合格発表 マイページのみ。発表日の10:00

大学は自己推薦入試の志望理由書について、入学後に学部で「できること」と「やりたいこと」をはっきりさせ、「自己の経験・能力」と「学部で学ぶ動機」を関連づけて説明することが大切だと案内しています。

学部・学科別の比較① 募集人員と出願資格

2027年度に「自己推薦」の名前で実施された方式です。「専願」は、合格したら入学を確約することが出願資格になっている方式です。評定は、高校3年1学期(前・後期制は前期)までの「全体の学習成績の状況」を指します。

学部・学科(方式) 募集人員 対象・専願 評定などの条件 英語資格
法学部 国際政治学科(英語外部試験利用自己推薦) 5名 既卒も可・専願の指定なし 条件なし 必須:英検CSE2.0スコア2304以上、IELTS 6.0以上(S・W各4.0以上)、TOEFL iBT 72点以上(新形式4.0以上)など
文学部 哲学科(自己推薦) 3名 卒業5年以内まで可・専願 3.8以上、または国内高校在学中の連続180日以上の留学経験、またはIBフルディプロマ(見込点26以上) 不要
文学部 日本文学科(自己推薦) 20名 卒業5年以内まで可・専願 3.8以上、留学経験、IB、または入学時20歳以上で就労経験あり、のいずれか 不要
文学部 英文学科(英語外部試験利用自己推薦) 5名 卒業5年以内まで可・専願 条件なし 必須:英検準1級以上、IELTS 5.5以上、TOEFL iBT 62点以上(新形式3.5以上)など。出願開始日から2年以内の受験に限る
文学部 地理学科(自己推薦) 10名 現役のみ・専願の指定なし 4.0以上、かつ「地理探究」または「地学」が4.5以上 不要
国際文化学部(SA自己推薦) 30名 現役のみ・専願 3.5以上、かつ外国語のいずれか1言語が4.0以上。独・仏・露・中・西・韓のいずれかの言語圏への留学(SA)を希望 不要
人間環境学部(自己推薦) 20名 現役のみ・専願 3.5以上、またはIBフルディプロマ(見込点26以上) 提出不要(提出しないよう指示あり)
キャリアデザイン学部(キャリア体験自己推薦) 20名 既卒も可・専願 3.8以上(卒業後5年以上たった社会人は除く)。キャリア体験や実績(資格、部活動、ボランティアなど)を客観的に証明できること 実績として提出することは可能(基準なし)
GIS(自己推薦 春入学S基準) 7名 既卒も可・併願可 評定の条件なし。全員がIB・GCE Aレベル・バカロレア・アビトゥア・NCEA・SAT・ACTのいずれかの要件を満たす必要あり 必須:TOEFL iBT 90点以上(新形式5.0以上)、IELTS 7.0以上、または英語をLanguage AとするIB Diploma
GIS(自己推薦 春入学A基準) 33名 既卒も可・併願可 評定の条件なし(海外の教育制度で学んだ人は、IB・SATなどの要件を満たす必要あり) 必須:英検・TOEFL iBT・IELTSのいずれかを提出(スコア・級は問わない)
スポーツ健康学部(自己推薦・理数系) 10名 現役のみ・併願可 4.0以上、数学4.0以上、理科(物理・生物・化学)1科目以上が4.0以上。数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・Cをすべて履修 不要
スポーツ健康学部(自己推薦・アスリート/トップアスリート系) 15名 既卒も可・専願 アスリート:3.2以上かつ英語3.0以上、全国大会出場など。トップアスリート:評定の条件なし、国際大会への日本代表出場経験(事前の資格確認が必要) 不要
現代福祉学部 福祉コミュニティ学科(まちづくりチャレンジ自己推薦) 10名 既卒も可・専願の指定なし 3.8以上。地域課題に主体的に関わったまちづくりの経験・実績と、それを証明できる学外の推薦者 任意で提出可(基準なし)
情報科学部(自己推薦) 18名(コンピュータ科学科9名・ディジタルメディア学科9名) 現役のみ・専願の指定なし 評定の条件なし。数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・Cをすべて履修(ディジタルメディア学科第一希望は物理基礎・物理も) 提出を推奨(基準なし)

「専願の指定なし」は、要項で専願(合格したら必ず入学)とされていない方式です。他大学との併願ができるかどうかが明記されていない方式もあるので、併願を考えている場合は出願前に大学へ確認してください。

各方式の細かな条件(高卒認定や海外の学校の扱い、英語試験の種類ごとの細則など)は、必ず各学部の要項で確認してください。

このほか、同じ一覧には国際文化学部の「分野優秀者入試」(SA自己推薦との併願不可)、経営学部などの「グローバル体験公募推薦」、理工学部の「公募推薦」なども並んでいますが、この記事では「自己推薦」の名前が付く方式に絞っています。

学部・学科別の比較② 選考内容と日程(2027年度)

日付はすべて2026年です。

学部・学科(方式) 出願期間 第一次選考(書類)発表 第二次選考の日と内容 最終合格発表
国際政治学科 9月29日〜10月9日 11月20日 11月29日:オンライン面接(約5分の自己プレゼンテーションを含む) 12月8日
哲学科 9月29日〜10月9日 11月6日 11月15日:小論文(60分)・面接 11月24日
日本文学科 9月29日〜10月9日 11月6日 11月15日:国語(古文・漢文・小論文を含む、75分)・面接 11月24日
英文学科 9月29日〜10月9日 11月6日 11月15日:面接 11月24日
地理学科 9月29日〜10月9日 11月6日 11月15日:地理(地理総合・地理探究、90分)・面接 11月24日
国際文化学部 SA 9月29日〜10月9日 11月6日 11月15日:面接 11月24日
人間環境学部 9月29日〜10月9日 11月6日 11月15日:小論文(60分)・英語(60分、IB該当者は免除)・面接 11月24日
キャリアデザイン学部 9月29日〜10月9日 11月6日 11月15日:小論文(60分)・面接 11月24日
GIS S基準 9月1日〜9月10日 ― 書類審査のみ(対象者に10月4日、英語のオンライン面接) 11月4日
GIS A基準 10月6日〜10月16日 ― 書類審査のみ(対象者に12月6日、英語のオンライン面接) 12月15日(追加合格12月22日)
スポーツ健康学部 10月6日〜10月16日 11月20日 11月29日:理数系は理数系の総合問題、アスリート系は小論文(各60分)・面接 12月8日
まちづくりチャレンジ 9月22日〜10月2日 10月29日 11月8日:小論文(60分)・面接 11月17日
情報科学部 10月13日〜10月23日 11月20日 11月29日:数学(数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B・C、90分)・面接 12月8日

入学手続の締切は、11月24日発表の方式が12月1日、12月8日発表の方式が12月15日、まちづくりチャレンジが11月24日、GIS S基準が11月10日、GIS A基準が12月22日(追加合格者は2027年1月8日)です。スポーツ健康学部のトップアスリートで出願する人は、出願前の9月1日〜18日に競技成績の資格確認の手続きが必要でした。

第二次選考の会場は、文学部・国際文化学部・人間環境学部・キャリアデザイン学部が市ケ谷キャンパス、スポーツ健康学部とまちづくりチャレンジが多摩キャンパス、情報科学部が小金井キャンパスです(国際政治学科とGISの面接はオンライン)。

出願の手続き(全方式共通)

共通冊子にまとめられている流れは次のとおりです。

  1. 出願する方式・学部・学科を決め、調査書などを用意する
  2. マイページに登録し、顔写真データを登録する(直近5か月以内に撮影したカラー写真。写真は郵送不要)
  3. インターネット出願登録をして、入学検定料を支払う(支払いは出願締切日まで)
  4. 入学志願書や志望理由書の書式を印刷し、すべての書類を市販の角形2号封筒で郵送する(締切日消印有効、海外からは必着)
  5. 受験票は試験日の5日前からマイページで各自印刷する(GISは書類選考のため受験票なし)
  6. 合格発表と入学手続はマイページで行う(郵送や電話での通知はなし)

注意点として、インターネットの登録だけでは出願は完了しません。検定料を払ったあとは方式や学部・学科を変更できないので、入力内容は支払い前によく確認しましょう。書類の到着確認には大学は応じていないため、郵便の追跡サービスなどで自分で確認することになります。

提出書類

方式によって違いますが、多くの方式に共通するのは次の書類です。

書類 ポイント
入学志願書 検定料の支払い後にマイページから印刷
調査書 3年1学期(前・後期制は前期)までの成績が載ったもの。厳封のまま提出(開封すると無効)
志望理由書(自己推薦書) 大学の書式を印刷して作成。字数は方式ごとに違う(下の表)
英語外部試験の証明書 必須・任意・提出不要が方式ごとに違う。TOEFL・IELTSは試験団体からの電子送信の手続きも必要
送付用宛名 角形2号封筒の表に貼る

志望理由書の分量は次のとおりです。

方式 志望理由書の分量
哲学科・日本文学科・英文学科・地理学科 1,600字以内
人間環境学部・キャリアデザイン学部・まちづくりチャレンジ 2,000字以内
スポーツ健康学部 1,000字以内
情報科学部 1,000〜1,200字。ISBNのある関連書籍を1冊以上読み、引用しながら書く
国際政治学科 英語で1,000ワード以内
GIS(S・A基準) 英語のPersonal Statement。志望動機(150〜200語)と、リーダーシップ経験か探究型学習経験のどちらか(400〜450語)

方式ごとに追加の書類もあります。キャリアデザイン学部は実績を証明する資料(資格証明書や、活動を知る人が書く活動内容証明書など)、まちづくりチャレンジは学外の推薦者(NPOの代表者や自治体の首長など。学校関係者は不可)による入学推薦書、GISは最終出身校の専任教員2名による入学志願者紹介状、スポーツ健康学部のアスリート系は競技成績証明書や大会説明書が必要です。国際文化学部SAの自己推薦書では、希望する留学先の言語・文化について「これまで実際にしてきた学習・準備の履歴」が書類審査の重要なポイントだと要項に書かれています。

2027年度の主な変更点

大学が2026年3月31日に公表した変更点のうち、自己推薦入試に関係するものです。過去の体験談や前年度の情報をそのまま使わないよう注意してください。

合格に向けた対策のポイント

1. 「出願できるか」を高校2年のうちに確認する

法政大学の自己推薦入試は、評定や履修科目の条件が方式ごとに細かく決まっています。たとえば地理学科は全体4.0以上に加えて地理探究か地学で4.5以上、スポーツ健康学部の理数系や情報科学部は数学Ⅲ・数学Cまでの履修が必要です。高校2年の終わりまでに前年度の要項で条件を確認し、評定と履修科目の計画を立てることが第一歩です。条件は3年1学期の成績まで含めて判定されるので、3年生の定期試験も手を抜けません。

2. 英語資格は「出願資格」と考えて、夏までに取り切る

国際政治学科、英文学科、GISは、基準を満たす英語スコアや結果がないと出願そのものができません。国際政治学科は英検でもCSEスコアで判定され、IELTSやTOEFLにはスピーキングとライティングの最低点もあります。英文学科は出願開始日から2年以内に受けた試験に限られます。TOEFL・IELTSは大学への電子送信の手続きにも時間がかかるので、高校3年の夏までにスコアを確定させる計画にしましょう。

3. 志望理由書は「経験」と「学部での学び」をつなげる

大学の案内どおり、自分の経験・能力と、その学部で学びたい理由を結びつけて書くことが大切です。私たちは次の順番で組み立てることをすすめています。

  1. 経験:これまでの学習や活動で、問題意識が生まれた具体的な場面
  2. 気づき:その経験から何を考え、自分で何を調べ、何を試したか
  3. 学部での学び:その学部・学科のどの授業やゼミで、何を深めたいか
  4. 将来:学んだことを卒業後にどう生かしたいか

字数は1,000字から2,000字まで方式によって大きく違います。情報科学部の「書籍を引用する」、国際文化学部SAの「留学先の言語・文化の学習歴」、GISの「英語で語数を厳守」のように、方式ごとの指定には必ず従いましょう。

4. 推薦書・証明書類は早めに依頼する

GISの紹介状(教員2名)、まちづくりチャレンジの学外推薦者による推薦書、キャリアデザイン学部の活動内容証明書など、他の人に書いてもらう書類は時間がかかります。GIS S基準の出願は9月1日から始まるので、夏休み前には依頼しておきましょう。

5. 第二次選考の科目に合わせて準備する

第二次選考の内容は方式によって、小論文、国語(古文・漢文を含む)、地理、英語、数学、理数系の総合問題、面接、オンラインでの自己プレゼンテーションとさまざまです。第一次選考の発表から第二次選考までは9〜10日ほどしかないので、筆記試験の対策は出願前から並行して進める必要があります。面接では、提出した書類の内容について「なぜ」「具体的には」と聞かれても答えられるよう準備しておきましょう。

6. 専願か併願かを確認して受験計画を立てる

哲学科・日本文学科・英文学科・国際文化学部SA・人間環境学部・キャリアデザイン学部・スポーツ健康学部のアスリート系は専願です。一方、国際政治学科、地理学科、GIS、スポーツ健康学部の理数系、まちづくりチャレンジ、情報科学部は専願ではありません。他大学の総合型選抜とどう組み合わせるかは、出願前に決めておきましょう。

準備のスケジュール例(高校3年生で出願する場合)

時期 やること
高校2年の冬 志望学部・学科を絞り、前年度の要項で評定・履修科目・英語資格・専願かどうかを確認。英語資格の受験計画を立てる
高校3年の4〜6月 英語資格の受験。活動の記録や成果物を集め、志望理由の材料を整理する
7月中旬 最新の要項が公開されたら、出願資格・日程・書類・書式をすぐに確認
7〜8月 志望理由書の作成と書き直し。推薦書・紹介状の依頼、調査書の発行依頼。筆記試験・小論文の対策を始める
9〜10月 出願(方式によって9月上旬〜10月下旬)。面接の準備
10月末〜12月 第一次選考の発表、第二次選考、最終合格発表

なお、各方式の志願者数・合格者数は、今回確認した要項や入試情報サイトでは公表されていませんでした。GISは、過年度を含めて合格者の評定や英語スコアなどのデータを公開していないとしています。数字の目安にとらわれず、書類と第二次選考の準備に集中しましょう。

参照した資料

入試の内容は年度ごとに変わります。出願の前に、必ず大学が公表する最新の募集要項を確認してください。